新刊　マーベル・テクノロジー: AI時代の隠れた半導体王者： NVIDIA、AMD、Broadcomと並ぶ “もう一つの勝者”を読む株価研究シリーズ第7弾

「半導体」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、NVIDIA、AMD、Intel、そしてBroadcomといった名だたる巨人たちでしょう。

しかし、その陰で静かに、着実に地位を築き上げてきた企業があります。それが本書の主役――マーベル・テクノロジー（Marvell Technology, Nasdaq: MRVL）です。

マーベルは、長年「地味な半導体企業」と思われがちでした。

なぜなら、彼らが作ってきたのはスマートフォンやPCに直接搭載される派手なプロセッサではなく、通信インフラやストレージ、データセンター内部をつなぐ“裏方の半導体”だったからです。

しかし今、その評価は大きく変わろうとしています。AI時代に不可欠な「データの通り道」「演算を最適化する頭脳」を提供する企業として、マーベルは世界のテック産業の根幹に組み込まれつつあるのです。

本書では、マーベルの歩んできた歴史を丁寧にたどりながら、なぜ今この企業が投資家や技術者から熱い視線を浴びているのかを解き明かしていきます。

米中摩擦、地政学的リスク、サプライチェーンの再編――半導体業界を取り巻く環境はかつてないほど激変しています。

その中でマーベルは買収による事業拡大、クラウド事業者との緊密なパートナーシップ、そして光インターコネクトやDPU（データ処理ユニット）といった新分野への積極的な進出によって、新しい時代の主役に名乗りを上げました。

特にAIデータセンター市場では、NVIDIAのGPUを補完する形で高速通信や演算効率化のソリューションを提供し、世界のテックジャイアントの“縁の下の力持ち”となっています。

投資家にとっても見逃せないポイントがあります。近年、マーベルの株価はAI関連銘柄として再評価されつつあり、ウォール街のアナリストは軒並み目標株価を引き上げています。

モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、ジェフリーズなどは「マーベルはAIインフラを支える重要プレイヤーであり、2027年以降の成長ポテンシャルは極めて大きい」と指摘。目標株価は90ドルから120ドル、強気の予想では150ドルに達するものもあります。

つまり、マーベルは単なる半導体企業ではなく、「AIという巨大成長市場の恩恵を受ける銘柄」として新しい評価軸に移りつつあるのです。

本書の強みは、単なる企業史の紹介にとどまらず、「投資家が知るべき視点」 を徹底的に盛り込んでいる点です。

売上推移や利益構造の変化、データセンター・通信・自動車といった成長セグメントごとの寄与度をわかりやすく整理。さらに競合他社との比較を通じて、マーベルがどのポジションに立ち、どこに強みと弱点を持つのかを解説します。

AIや5G、自動運転といった最先端トレンドとの関わりを理解することで、マーベルの将来価値を投資家自身が評価できるようになるでしょう。

また、読者が読みやすいように付録として年表、アナリストレポート要約、用語解説集（30項目）を収録。専門用語に不慣れな読者でも、半導体産業の全体像を押さえながらマーベルの位置づけを理解できる構成になっています。

NVIDIAのGPUが話題をさらう今、投資家は「次に来る銘柄」を探しています。その候補のひとつが、まさにマーベルなのです。本書を手に取ることで、あなたは単なるニュースや株価の上げ下げに振り回されるのではなく、マーベルを取り巻く大局的な流れを読み解くことができるようになるでしょう。

半導体は21世紀の石油とも呼ばれます。そして、その供給網と成長力を理解することは、未来を読むことと同義です。

マーベルの物語は、単なる企業研究ではなく、「AI時代のインフラをどう捉えるか」「次の10年の投資機会をどう選ぶか」という大きな問いに直結しています。

本書が、テクノロジーと投資の両面から未来を見通すための羅針盤となり、読者の皆さまの意思決定をより確かなものにすることを願ってやみません。

2025-08-22